用語辞典

エポキシ樹脂とは?

 エポキシ樹脂は、硬化剤と組み合わせ硬化することにより、様々な特性を持つ硬化樹脂を得ることができます。

 その性質は硬化剤の種類や配合比、あるいは硬化条件によって大きく変わってきますので、用途に応じて様々な硬化剤と組み合わされています。

 エポキシ樹脂は、電気的特性、機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、寸法安定性に優れています。

 エポキシ樹脂は硬化時に揮発物質を副生しないので成形品の寸法変化が少なく、電気的性質が良好であり、また、流動性に富み、比較的低圧でも成形できるので複雑な形状やインサートの多い成形品や寸法精度の要求される成形品に適しています。そのため、電気関係部品、機械関係部品、封止用材料として使われます。

 特に流動性を良くしたエポキシ樹脂は、トランジスタやMOSIC、LSIなどの半導体素子の封止材料として極めて重要です。

 また、ガラス布、ガラス繊維、炭素繊維などの基材と組み合わせて積層品として用いられています。

 加えて、他物質への接着性に優れているため、接着剤や塗料、あるいはガラス繊維との積層用材料としても広く応用されています。

エポキシ樹脂の製法

 ビスフェノールA[2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル-プロパン]とエピクロルヒドリンとの縮合生成物は、最初に開発され、現在でもエポキシ樹脂生産量の約7割近くを占めている。一般にビスフェノールA型(ビスA型)エポキシ樹脂と呼ばれます。原料のビスフェノールAはフェノールとアセトンから、また、エピクロルヒドリンはプロピレンから合成される。ビスフェノールAの代わりにノボラックなどのフェノール系化合物、アミン類、カルボン酸類を用いて合成したものや、不飽和化合物、例えばシクロペンタジエンやシクロヘキセン誘導体、ポリブタジエン、乾性油などの不飽和基に有機過酸類を用いてエポキシ基を導入する方法もあり、ビスフェノールA型樹脂とは異なった性状を持つ樹脂が得られる。

エポキシ樹脂の硬化

1、硬化剤の種類と配合および硬化条件

 エポキシ樹脂は硬化剤と反応してはじめて機械的強度や耐薬品性の優れたものになるが、その性質は硬化剤の種類や配合比、あるいは硬化条件などによって大きく変わってくる。

 硬化剤の種類はアミン系、酸無水物系、ポリアミド系およびその他の硬化剤に分類され、それぞれ用途に応じて適当に選択使用される。

 樹脂に配合する硬化剤の量は、エポキシ当量(1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数)をもとにして算定される。例えば、エポキシ当量200の樹脂ならこの樹脂200gにつき、アミン硬化剤では活性水素1当量を含むグラム数(アミン当量という。例えばメタフェニレンジアミンでは分子量108、活性水素数4であるから、アミン当量は108/4=27となる)だけ配合すれば性質の良い硬化物が得られる。酸無水物硬化剤の場合には、エポキシ基1個に対して通常、酸無水物基0.8~0.9個程度がよいとされているが、第三アミンを硬化促進剤として添加する時には、当量配合すればよい。

 

2、アミン系硬化剤

 脂肪族ポリアミン、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが常温硬化剤として実用されている。しかし、これらは毒性が強く、皮膚炎や呼吸器障害の原因となるので、他の化合物、例えばエポキシ樹脂、アクリロニトリル、酸化エチレンなどを付加させて末端にアミノ基を持つ付加化合物として用いることも多い。これら付加物は毒性及び揮発性が低く、また、樹脂に対して同量配合すればよいように取扱いやすい状態にして市販されている。これらを一般的に変性アミンと総称している。これら変性アミンは、その変性方法により硬化樹脂の物性がかなり異なってくるため、要求性能に合わせて選択することが肝要である。

 また、脂肪族ポリアミンは反応性に富み、用途によってはポットライフ(可使時間ともいう。液化樹脂に硬化剤を添加した時から粘度が上昇して使用不能になるまでの時間)が短すぎることがある。この点を改善したのがBF₃とアミン(モノエチルアミンなど)との付加物で、潜伏性硬化剤として知られている。

 その他、脂肪族ポリアミンをケトンと反応させて得られるケチミン(ケトイミン)も塗料用硬化剤として知られている。この硬化剤は塗布後、空気中の水分によって加水分解されてポリアミンを生成するので、一液性塗料用の硬化剤として価値がある。

 芳香族ポリアミンとしては、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどがよく用いられる。硬化条件はかなり高温を要するが、荷重たわみ温度が高く、機械的性質や電気的性質の優れた硬化物が得られる利点がある。芳香族ポリアミンも融点を下げたりして取扱いやすくするために、混融物で使用したり変性して用いることが多い。

 

3、酸無水物系硬化剤

 酸無水物系硬化剤としては、安価なためよく用いられる無水フタル酸、融点が低く取扱いの容易なテトラおよびヘキサヒドロ無水フタル酸、液状で物性のバランスがとれ比較的安価なメチルテトラヒドロ無水フタル酸、ポットライフの長い液状の無水メチルナジック酸、高温特性の良い無水ピロメリット酸、難燃性の無水ヘット酸、柔軟性を付与するドデセニル無水コハク酸などが主要なものである。

 一般に酸無水物は、ポットライフが長く毒性が小さいなどの特徴を持ち、電気的性能をはじめ各種性能の優れた硬化樹脂を与える。また、硬化反応が比較的ゆるやかに進行するため、硬化ひずみが小さく大型の成形物をつくりやすいが、硬化に高温、長時間を要するのが難点である。従って、工業的には硬化促進剤として少量(0.5~3.0%)の第三アミン(例えばベンジルジメチルアミン)やイミダゾール類(例えば2-エチル-4-メチルイミダゾール)などを併用し、生産能率の向上を図っている。特に後者は硬化促進剤としてだけでなく、硬化剤としての作用もあり、耐候性や耐熱性、電気的性質に優れた硬化樹脂を与える。

 

4、ポリアミド系硬化剤

 ダイマー酸はリノール酸やオレイン酸を主成分とする不飽和脂肪酸を加熱重合して製造され、これにジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンなどを反応させると、軟化点の低い粘稠な液状ポリアミド樹脂となる。これは塗料、土木・建築、接着剤用硬化剤として有用であり、その需要量はアミン系硬化剤を上回っている。アミンの種類や配合比を変えることにより、分子量、粘度、反応性などを広範囲に変化させることができる。

 

5、その他の硬化剤

 イミダゾール類は、第三アミンと同様にアニオン重合型硬化剤であり、他の硬化剤の硬化促進剤としても用いられている。その特徴は、比較的長い可使時間を持つことと、作業性を改善するために各種誘導体をつくりうることである。主に、積層板や塗料、接着剤用途に使われている。フェノール樹脂(ノボラック)は、多官能型硬化剤をして有用であり、耐熱性の高い硬化物を与え、半導体封止用成形材料に用いられている。アミノ樹脂は主に塗料用途としてエポキシ樹脂の性質を改良したり、価格を下げるために用いられてきたが、最近では難燃性の付与が注目され、電気用材料としても用いられてきている。そのほか、特殊硬化剤として、潜伏性に優れたジシアンジアミド、低温速硬化性のポリメルカプタンなどがあり、主に塗料、接着剤などに利用されている。

性質

1、ビスフェノールA型エポキシ樹脂

 ビスフェノールA型エポキシ樹脂は汎用タイプとして広く用いられており、その特性はエポキシ樹脂全体に共通するものである。エポキシ樹脂の硬化は、エポキシ基の開環とそれに伴う付加反応によって進行する。従って硬化の際、水その他の揮発物を副生せず、体積収縮が少ないという特徴がある。このため、電気絶縁性や寸法安定性が良く、注型品や成形品として電気関係や機械関係の用途に用いられている。また、多物質への接着性に優れており、接着剤や塗料、あるいはガラス繊維と積層用材料として広く応用されている。耐薬品性にも優れ、強酸化性酸や低級脂肪酸を除いた多くの酸やアルカリ類、塩類に対して安定である。また、ほとんどの溶剤にも侵されないので、耐食材料としても有用である。同じビスフェノール型エポキシ樹脂として、アセトンの代わりにホルムアルデヒドを原料とするビスフェノールFをグリシジルエーテル化したビスフェノールF型エポキシ樹脂がある。ビスフェノールA型エポキシ樹脂に比べ低粘度という特徴があり、ハイリソッド方(低溶剤型)塗料などの用途がある。

 

2、ノボラック型エポキシ樹脂

 クレゾールノボラックタイプとフェノールノボラックタイプの2種類があるが、どちらも官能基数が多く、耐熱性、耐薬品性、電気特性に優れた硬化物を与える。粉体塗料、成形材料、積層板などに使用され、特に半導体封止材料用需要が大きい。

 

3、環状脂肪族型エポキシ樹脂

 分子中に芳香環を含まないため、耐候性、耐アーク性および耐トラッキング性に優れており、主として電気絶縁材料として使用される。高温特性も優秀であるが、固くて脆い性質があり、ガラス繊維などの強化材とともに用いられる。アミンとの反応性は悪いが、酸無水物とは容易に反応するため、硬化剤としては主に酸無水物を用いる。また、低粘度であるため希釈剤としても有効である。

 

4、長鎖脂肪族型エポキシ樹脂

  可撓性に優れ、低粘度であるので主に希釈剤として用いられる。モノあるいはジエポキシタイプのものが中心である。耐熱性は劣る。

 

5、グリシジルエステル型エポキシ樹脂

 カルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応により得られる。フタル酸のようなジカルボン酸を用いたジグリシジルエステルタイプが一般的である。反応性はグリシジルエーテル型のものに比べて高く、一般には酸無水物系硬化剤を用いる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂に比べ低粘度で、硬化物の対アーク性、耐トラキング性、耐候性に優れているため、電機絶縁材料として広く用いられている。

 

6、グリシジルアミン型エポキシ樹脂

 アミンをグリシジル化したエポキシ樹脂であり、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)やトリグリシジル-p-アミノフェノールのような多官能性のものがよく知られている。分子量が小さく、多官能性であるため硬化物の耐熱性が優れており、耐熱性複合材料用マトリックス樹脂として重要なものである。

 

7、その他のエポキシ樹脂

 臭素化ビスフェノールAを原料とした難燃性エポキシ樹脂、耐熱性、耐候性、耐アーク性に優れたヒダントイン系エポキシ樹脂、耐熱性に優れたイソシアヌレート系エポキシ樹脂などがある。特に難燃性エポキシ樹脂は、UL規格の強化とともにその需要を伸ばしている。

 

成形加工

1、注型

 エポキシ樹脂の注型は治工具の製作、電気部品の埋込みなどに利用される。後者では絶縁のほかに破損や劣化防止、あるいは組立作業を容易にするなどの利点があり、ポッティング、エンキャプシュレーション、シーリングのいずれもが利用される。そのなかで、特筆すべき注型技術としてCiba – Geigy社によって開発された加圧ゲル化注型法がある。これは硬化剤を配合した注型用材料を真空脱泡した後、高温金型(140~160℃)中に圧入し、硬化させるものである。この方法の利点としては、生産速度の向上、硬化過程が均一であるため寸法精度が良好、などが挙げられる。このほか、注型法の一変形として、小型モータの樹脂含浸のために開発された滴下含浸法がある。これは、予熱したモータコイルを回転させながらその上へ樹脂と硬化剤を同時に別々に滴下含浸させ加熱硬化させるもので、真空含浸装置が不要な点、有利な方法である。

 

2、積層成形

 エポキシ樹脂/ガラス繊維積層材料は優秀な性質のため、強化プラスチックの分野の中でも重要な地歩を占めている。また、強化材として炭素繊維や<ケブラー>なども用いられ、それぞれ優れた性能を発揮している。この積層品は湿式法、乾式法(プリプレグ法)およびフィラメントワインディング法によってつくられる。

 

3、湿式積層法

 この方法は液状樹脂に硬化剤を配合し、希釈剤を加えるか加温して粘度を下げ、ポリエステルの場合と同様な操作で積層成形する方法である。希釈剤には低粘度のジグリシジルエーテル型化合物または脂環式エポキシ樹脂のような反応性希釈剤を用いると、積層品の機械的性質が低下しない。

 

4、乾式積層法

  固状樹脂をアセトンなどの溶剤に溶かし、低温で反応しないジシアンジアミドのような硬化剤を加え、ガラス繊維に含浸させて乾燥させる。このようにしてつくられたプリプレグを重ねて加熱加圧成形をすると、積層製品が得られる。

 

5、フィラメントワインディング法

 ボビンに糸を巻くような要領で樹脂含浸ガラス繊維を芯型にきっちり巻き付けた後、加熱硬化させる方法で、ロケットやミサイル、タンク、パイプなどに応用されている。この製品の主な特徴は、耐薬品性が優秀で比強度(強度/比重)が高い(銅の約5倍)ことである。また、繊維の巻き方、つまり糸の交差する角度を目的に応じて変えることができ、円周方向と軸方向との強度比を自由に加減できるのもこの方法の利点である。パイプに巻き上げたものを切り開いてシート状製品をつくることもでき、用途は広い。

 

6、成形材料

 フェノール樹脂やユリヤ樹脂と同様に粉末状エポキシ樹脂成形材料も市販されており、圧縮成形およびトランスファ成形で能率良く成形品をつくることができる。また、最近では射出成形用材料も上市されている。一般に、エポキシ樹脂成形材料はビスフェノールAあるいはノボラックのグリシジルエーテル型樹脂をベースにし、これに芳香族アミン硬化剤、フェノール樹脂硬化剤あるいは酸無水物硬化剤、および充てん材を配合し、ある程度反応を進めて適当な成形性を与えたものである。充てん材としてはシリカ粉、タルクなどを約70~85重量%使用する。この成形材料は硬化時に揮発物質を副生しないので硬化物の寸法変化が少なく、電気的性質も良好である。また、流動性に富み、比較的低圧でも成形できるので複雑な形状やインサートの多い成形品に適したものである。特に流動性を良くした成形材料は、ICなどの電子部品のトランスファ封止成形用として重要である。圧縮成形の場合の標準の成形条件は、成形温度140~160℃、成形圧力10~20MPa(トランスファ封止成形の場合は1MPa以下)、硬化時間約100~200sec/(mm厚)で、成形後アフターベーキングすることにより成形品の性能はさらに向上する。

用途

1、注型品

 エポキシ樹脂の持つ電気特性、機械的特性の良さと、注型加工の容易さから、重電機器に応用されている。注型用エポキシ樹脂としてはビスフェノールA型が使用され、硬化剤としは、電気性能の点から酸無水物が用いられる。一般にこれら樹脂混合物に多量のシリカなどの充てん材を加え、耐クラック性、耐トラッキング性などの向上が図られている。主な製品としては、変圧器、碍子、ブッシング、絶縁開閉機器などがある。

 

2、積層品

 エポキシ樹脂は、電気的性質、機械的性質、耐水・耐薬品性、耐熱性に優れており、ガラス布、ガラス繊維、炭素繊維などの基材と組合せて積層品として用いられている。積層品の用途としては、構造用、充電機器用のほかに印刷回路用があり、現在、最も需要が大きくなっている。印刷回路用としては、ガラス布基材の銅張積層板が中心であり、産業用電子機器の汎用化に伴い、需要が急増し、しかも高密度化などの要求が年々高まっている。製造方法は、乾式法が一般的であり、プリプレグを重ね合わせ、一定時間加熱、加圧して得られる。エポキシ樹脂としてはビスフェノールA型エポキシ樹脂が主体であり、耐熱性向上のためノボラック型エポキシ樹脂も用いられている。硬化剤はジシアンアミド、芳香族アミン、酸無水物が用いられる。

 

3、成形品

 これはエポキシ樹脂成形材料から圧縮成形やトランスファ成形によってつくられるもので、寸法安定性、電気的性能に優れているため、主としてインサートの多い電気部品や寸法精度の要求される機械部品に用いられる。特に最近では、エレクトロニクス産業の発展に伴い、半導体などの電子部品のトランスファ封止成形が一般化し、各種の成形品がつくり出されている。ベースとなるエポキシ樹脂としてはo-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が代表的であり、硬化剤としては、芳香族アミン、酸無水物、フェノールノボラックなどが使われているが、耐湿性、成形性、保存安定性、耐熱性の面からフェノールノボラックが主流である。硬化触媒、充てん材などを加え、熱ロールで混錬し成形材料としたものが用いられる。半導体素子や金線をいためないように、流動性の良い成形材料を用いて低圧トランスファ成形により封止成形品が製造されている。

 

4、粉体塗料

 粉体塗料は溶剤を含まない粉末状の塗料で、静電塗装方式では、空気中で霧状となった塗料が静電気で被塗物に塗着し、加熱溶解により成膜される。エポキシ樹脂としては軟化点の高いビスフェノールA型エポキシ樹脂が使われ、硬化剤としてはジシアンジアミド、芳香族アミン、イミダゾール、酸無水物が使われる。主要用途は、鋼管、建材、自動車下塗りなどがあり、塗装自動化が容易、無溶剤、塗料が回収・再使用できる、厚く塗れる、などの特徴がある。

 

5、水系エマルション塗料

 エポキシ樹脂を界面活性剤で強制乳化し、硬化剤を加えて水系塗料としたものである。エポキシ樹脂は通常のビスフェノールA型が使われ、硬化剤としては、強制乳化したポリアミドや自己乳化型のポリアミド、ポリアミンが使われる。

 

6、カチオン電着塗料

 自動車の車体の電着塗装に用いられている。電着塗装とは、比較的低濃度の水性塗料中に、電導体である被塗物を陽極または陰極とし、この被塗物と対極の間に直流電流を流すと、塗料粒子が被塗物上に凝固析出して塗膜となる塗装方法である。塗料をカチオン化し、被塗物を陰極とした場合がカチオン電着塗料である。特徴としては、自動塗装が容易、電気抵抗のない未塗装の部分に塗装が広がり陰の部分まで塗装が可能、膜厚の均一化、水性塗料であり環境汚染が少ない、などが挙げられる。

 

7、ジンクリッチプライマー

 鋼材の防食を目的としたエポキシ樹脂・ポリアミド系の下塗り塗料で、亜鉛の微粉末を90重量%以上含んでいるので電気化学的な防食効果が大きい。この塗料を塗布した鋼材はそのまま溶接でき、造船所での需要が多い。

 

8、接着剤

 ケイ素樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを除けば何でも接着できる。例えば金属、ガラス、陶磁器、石材など、他の接着剤では十分な強度が得られないような材質をもよく接着する。特に軽金属に対しては大きな接着力(アルミニウム同士の接着ではせん断強さ30MPa以上)があり、リベットによる接合よりも大きな強度を得ることができる。エポキシ樹脂接着剤は液状、ペースト状、粉末状、などいろいろなタイプが市販されているが、液状のものが最も広く用いられている。主な需要先は航空機工業、建設工業および電気工業である。軽金属製窓枠やドアの接着、プリント配線用積層板と銅箔との接着、耐水性研磨紙への砥粒の接着などは、この樹脂の特徴をうまく利用した用途例である。また、土木・建築方面への応用として、プレハブコンクリートブロックの現場接着、きれいな小砂利や砕石の接着による建造物の外面装飾なども増加している。特殊な例では、1967年に行われた広島の原爆ドームの修理に約20tonのエポキシ樹脂が使われたと言われる。

 

9、土木・建築用途

 土木・建築用途としては、コンクリート構造物の補修、道路舗装、建築物の床材などがある。コンクリート構造物の補修方法としては、ひび割れにエポキシ樹脂を注入、鋼板をエポキシ樹脂により接着、欠落部をエポキシ樹脂コンクリート(骨材含有エポキシ樹脂)で補修などがあり、いずれもエポキシ樹脂の接着性の良さを生かしている。道路舗装の場合、エポキシ樹脂に摩擦係数の大きい砂や石粉、顔料などを加え、使用直前に硬化剤を加えて路面に施工するのであるが、道床との接着力が良いので薄い層の施工で十分目的を達することができ、橋や高速道路に適用されている。利点は、路面とタイヤとの摩擦が大きいので車がスリップしないこと、摩耗しにくく長期の使用に耐えること、施工が簡単で損傷箇所の補修が容易なこと、耐油性が良好でガソリンスタンド付近の舗装に特に適していること、などである。建築物の床材の場合には、液状樹脂と硬化剤及び充てん材を使用直前に混合して直接床上にコテ塗りするものと、砂を充てんしたタイル状の硬化樹脂を接着剤で床張りするものとがある。いずれも耐油・耐薬品性が優秀で、摩耗にもよく耐え、清潔に保ちやすいので化学工場や搾乳所、食品加工場、病院の手術室などに応用されている。

 

10、構造用複合材料

 繊維強化エポキシ樹脂複合材料は、構造用材料として用いられている。ガラス繊維を強化材とする複合材料は、燃料タンク、パイプ、貯蔵槽、耐圧容器などに用途がある。炭素繊維を強化材とする複合材料には先進複合材料(ACM;Advanced Composite Materials)に属しており、自動車や航空機の構造材料、ゴルフクラブシャフト、釣竿などのスポーツ用品分野に用いられている。

〔出典 プラスチック読本、発行元 (株)プラスチックスエージ社〕

 

エポキシ樹脂の用途

  • 電子部品の封止
  • コネクター
  • スイッチ
  • ボビン
  • 樹脂ケース
  • 碍子
  • プラグキャップ
  • マグネットスイッチ
  • 端子板
  • 配電盤
  • ブッシング
  • コイルの封止
  • プリント配電盤
  • 抵抗器・コンデンサの封止
  • トランジスタ・IC・LSI・COB・PPGA・TABなどの封止
  • 接着剤
  • 塗料
  • 積層品

Wikipedia情報

エポキシ樹脂(エポキシじゅし、epoxy resin)とは高分子内に残存させたエポキシ基で架橋ネットワーク化させることで硬化させることが可能な熱硬化性樹脂の総称である。

架橋ネットワーク化前のプレポリマーと硬化剤を混合して熱硬化処理を行うと製品として完成するが、プレポリマーも製品化した樹脂も両者ともエポキシ樹脂と呼ばれる。

プレポリマーの組成は種々のものがあるが、最も代表的なものはビスフェノールAとエピクロルヒドリンの共重合体である。

また硬化剤としては種々のポリアミンや酸無水物が使用される。

プレポリマーの組成と硬化剤の種類との組み合わせで物性が多様に変化するので、エンジニアリングプラスチックとして利用される。特に寸法安定性や耐水性・耐薬品性および電気絶縁性が高いことから、電子回路の基板やICパッケージの封入剤として汎用されている。

また接着剤、塗料、積層剤としても利用される。これらの多くは2液型で混合して使用する。

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